オシャーンの日記編 (22)



  コーレニン図書館

ララーノとエミウルの2人で、青い表紙の魂の本を開ける。
頁の中のオシャーンは、驚いたような、安堵したような、複雑な表情を見せた。
途端に、ララーノが、頬を膨らませる。
「エミウルがね、いじわるを言うの」
エミウルも、ほんの微かにだが頬を膨らませた。
「いじわるじゃないわ」
双方から訴えを受けたオシャーンは、上がりきらない瞼の奥から温かい眼差しを2人に向けた。
「…いじわるじゃない。……どっちも。
 ……どっちも、互いがだいじ」
ララーノとエミウルは、はっとして互いの顔を見合わせた。

「… わたしのこと、すき?」
純粋な眼差しで問いかけるララーノに、エミウルは思わず吹き出した。
「勿論よ。…ええ、勿論よ!」

図書館を出ると、廊下の明かりが小さくなっていた。
表立って時計に管理されないコーレニンでは、明かりの強弱で大体の時間が表されている。
「エミウル、またね!」と、再会を疑わないララーノと別れ、エミウルは時空移動ポイントへと向かった。

道中、カシェとすれ違う。
「なんだ、まだ帰っていなかったのか」
「あなたの所為で、なかなか帰れないの。
 でも悪いことばかりじゃ無いようね」

見上げると、カシェが神妙な顔つきをしているのに気付いた。
こちらが尋ねるより先に、相手が「表情を変えられたのか…」と呟く。
「今だけよ」
素っ気なく返し、足早に立ち去った。





 Menu