ズィナ編  (3)

 

ところで「変化」といえばですね――
他の世界とも関わることなのですが、
ルーベリー行きを1000代目の3人が許されたこと…ご存じですよね?
凄い速さで噂が広がりましたし…

ルーベリー行きが推奨されていた1代目からすると、なんだか縮こまったように聞こえますが…
ある時から今までからすると、相当大きな変化ですよね。
もっとも、今回の件だけでなく998、999代目の密かな地球行きも、影響しているみたいですけど。
地球行きによって、少なくとも何らかの変化はもたらされた。
にも関わらず、当時の3人はあまり口外しなかったそうですね。
見たことを人に知らせることにそう興味はなく、自己満足で終わったとか…
ですから、こんなにも大きな出来事なのに、意外と知られていませんよ。

では、何故私が知っているのかって?

――いたんですよ、999代目に。
私の子孫であり、私の先祖でもあるシューナの魂系… リヴィエ・シューナがね。

――とりあえず、ルーの方は自分が壊した文明をどうこうする気はさらさらないみたいですけどね。


コーレニン図書館。

ズィナは魂の本の999代目のページのセピア調の写真をじっと睨み付ける。
こちらから話しかけない限り、写真はただの写真だ。
ズィナが睨み付ける先で、写真内のリヴィエは自信たっぷりの笑みを浮かべている。

――この方なら、何か『変化』を知っているのでは…

――地球のことばっかりか。コーレニンは見ていたのだろうか?

写真の下の箇条書きを読んでみる。

「999代目、リヴィエ・シューナ」から始まる箇条書き。
専門や宝石、魔法道具といった、基本的なことしか書かれていなかった。

――後は本人に直接訊け、ということか。

しかしまぁよほど色々なことをしてきたのだろうか。
自信たっぷりのリヴィエの笑みは、誇らしげなものでもあった。

この前ララーノからカシェパースという人物を教えて貰い、その代償ということで仕方なくララーノにつき合った。彼女がわ―わ―言いながら原っぱを駆け回っていた間、ズィナは柱にもたれかかっていた。
寝てるふりをしつつ、頭の中ではその人物について色々考察をあげてみたが、やっぱりよく分からない。考えたところで、どうにかなる訳でもないだろうと、一旦そのことは保留にすることにした。

そして、コーレニンに『変化』があったのかを知りたい、という原点に戻り、図書館に戻ってきた。
あの時は本の中のリヴィエと何気なく会話を交わしたが、今こうして見ていると、もしかしたらチャンスなんじゃないかと思えてきた。

「リヴィエさん」
「何?」
即座に反応してきた。
「地球には何か変化はありましたか?」
リヴィエがかすかに「う―ん……」という声を漏らすのが聞こえた。
「変わったんじゃないかな?」
「長年地球に行っといてそれですか…」
内心、夢を膨らませるような答えをちょ―っと期待していたが、それがぼろぼろと崩れていくのを感じた。
子供の夢が崩れ去る時というのは、こういう感じなのだろうか。

「では、コーレニンのほうはどうでしたか?」
リヴィエの全身は見えなかったが、肩の動きからして腕をぶらぶらさせているのだろう。
「……」
一旦腕のぶらぶらが止まったが、またぶらぶらが始まった。
「今の時代はわかんないや」
そりゃそうか、とズィナは変に納得した。
街角アンケートみたいな質問をしてみたが、このまま続けるより他の世代に訊いた方が懸命で、それよりかは自分で今の時代のコーレニンを歩き回る方がいいだろうという結果に行き着いた。

「有り難う御座いました」
そう言って、ズィナは魂の本を閉じて本棚に戻す。
閉じる際に、リヴィエがどんな表情をしていたのかは気に掛けなかった。




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