転換石編  (3)



「へぇ〜契約魔法かぁ―」

大広間にいたのは、ルーとユイユとマホガニー。
しかし、幾つもある入り口のうちの1つの陰で、耳をそばだてて大広間でのやりとりを聞いている者達がいた。
皆の声はよく通るのでしっかり聞こえたが、最後のルーの発言は呟きに等しかったので、神経を使わないと聞こえなかった。

「ねぇ聞いた―、レイミン?」
「聞こえちゃった―、ロイシン!」

ロイシン・ハルテとレイミン・ハルテ。
ハルテの魂系1000代目の双子。

「『転換石』って初めて聞いたけど、…どんなものなんだろうねロイシン?」
「ハルテなら知ってるかもね!図書館に――」
「行こう」とロイシンが言い終える前に、友人であるベベルに割り込まれた。
「ちょっと! レイミンにロイ…」
「「し―っ!」」
ベベルの声もよく通るので、大広間内の者達に気付かれるとこだった。
ロイシンはひそひそ声で話す。
「今から―、図書館に行くんだよ」
レイミンもひそひそ。
「私達ここで何もしていな―いし、何も聞いていな―い、からね!」
「えっと…何かしていたし聞いていたのね?」
ロイシンもレイミンも、ウィンクして右手の親指を立てた。
「「それはご想像にお任せします!」」


  コーレニン図書館。

「「ハルテ―!遊びに来たよ!」」
2人は桃色表紙の魂の本を開く。
「どうかした? あ、もしかしてまた何か面白いこと思いついた!?」
レイミンが顔をぐっとハルテの写真に近づけた。そしてひそひそ。
「ねぇ―ハルテ、『転換石』ってなぁに?」
「え?…あ、あぁ!」

ハルテもひそひそ話す。
「覚えてない、ごめんっ!」
―― ――!!??

レイミンもロイシンも固まったのを見て、ハルテは手も首もぶんぶん振る。
「いやいやいやいや…聞いたことあるし、大体のイメージは浮かぶんだけど思い出しきれてないっていうか…でも、」
「「でも?」」
ハルテは一拍おいて続けた。
「魔法道具だよ、…『転換石』なんて誰から聞いたの?」
「くるくる海老さん!」
「くるくる…?」
レイミンが即答するが当然ハルテには伝わらず、ロイシンが援護する。
「ユイユ。フッセの魂系だね」
「フッセ… …あたしの薬を貰ってくれた人の名前は皆覚えているけど…顔が思い出せないなぁ…ごめんっ!」
ハルテがぱんっと手を打って頭を下げる。
「「……」」
手を合わせたまま、ハルテはそろそろと顔を上げる。
「あ、でもこういうことでしょ?
 あたしも知ってて、あんた達も知ってる『転換石』…世代を越えて知られるってことは相当な魔法道具だよ…!」
レイミンはぱっと笑顔になった。
「そうねロイシンっ!ね、探そ探そ!」
「大広間にはマホガニーもいたよね…凄いかもね!」

  *

大広間を後にし、ユイユは考えていた。
――契約魔法…正式名称…

使ったことはないから、どんな魔法なのかはユイユは知らない。
図書館の本で読んだ気はするが、覚えていない。
マホガニーは用事があるとのことで、何処かへ行ってしまった。

試しに呼び寄せ魔法で「サウ・パクチュアーロ・マルガロッド変石!」と唱えてみたが、案の定転換石は来なかった。

「ルー様が最後に言ってたこと…気になるなぁ…」
ユイユは一旦立ち止まり、除々に頭を上げつつ考える。
丁度目の前に天井が来たとき、ひらめいた。

「誰かが転換石を見つける前に、僕が見つければいいのか!」

それが出来ないからこうしているのだが。

 



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